結論から言う。プロンプトより先に、考えるべきことがある。
「とりあえずChatGPTに聞く」病
毎朝、何かにつまずくたびにChatGPTを開く。コードが動かない、仕様を決めかねている、メールの文章が思い浮かばない——。
一見、効率的に見える。でも実態は「思考の外注」だ。
問題は速度じゃない。AIに丸投げするクセがつくと、自分で問題を定義する力が落ちていく。気づいたときには、「ChatGPTがないと何も決められないエンジニア」が完成している。
プロンプトの前に「問い」がない
使いこなせないエンジニアに共通しているのは、プロンプトを打つ前に「自分が何を解決したいか」が整理されていないことだ。
たとえば、こういうプロンプトを打つ。
「このコードを直してください」
AIはそれなりに答えを返す。でも「何が問題か」を自分で考えていないから、出てきた答えが正しいかどうかも判断できない。
コードレビューを依頼したいなら、先に「何のためのコードで、どの部分に不安があるか」を自分の言葉で書き出す必要がある。それができた時点で、問題の半分は解けている。
プロンプトはアウトプットじゃない。自分の思考を整理してから、はじめてツールとして機能する。
「答えをもらう道具」だと思っている
ChatGPTを「検索エンジンの上位互換」として使っているエンジニアは多い。答えをくれる道具として。
でも本当の使い方は逆だ。「自分の考えを壁打ちする相手」として使う。
たとえばアーキテクチャを検討しているとき。
「マイクロサービスとモノリス、どっちがいいですか?」
これは問いとして成立していない。AIが「場合によります」と答えるのは当然で、その回答に意味はない。
「チームが3人、リリースサイクルが月1回、将来的にサービスを分割する予定がある。この条件でモノリスを選ぶことのリスクを教えてほしい」
こう打てるのは、すでに自分の中に仮説があるからだ。AIはその仮説を検証するために使う。答えを出してもらうためではなく。
出力を「そのまま使う」エンジニアの末路
ChatGPTが書いたコードをそのままPRに出す。生成した文章をそのまま仕様書にする。
最初は「速い」と感じる。でも半年後、自分のコードが読めなくなっている。自分で書いていないから、構造を理解していない。レビューで詰められても答えられない。
AIが書いたコードは、自分の頭を通過していない。
出力はあくまで「たたき台」だ。理解して、自分の言葉に置き換えて、はじめて自分の資産になる。コードでも、文章でも。
「プロンプトを工夫する」より先にやること
プロンプトの書き方より、先にやるべきことが3つある。
1. 問題を自分の言葉で書き出す
AIに投げる前に、メモ帳に書く。「何が問題で、何を解決したいか」を1〜2行で。書けないなら、まだ問題が整理できていない。
2. 仮説を持ってから聞く
「どう思う?」ではなく「こう考えているが、抜けている観点はあるか?」。仮説があると、返ってきた答えを取捨選択できる。
3. 出力を必ず自分の言葉でリライトする
コードなら、一行ずつ説明できるか確認する。文章なら、自分の表現に置き換える。これをやるかどうかで、3ヶ月後の差が出る。
使いこなしている人は「考える量」が増えている
本当にChatGPTを使いこなしているエンジニアを見ると、共通点がある。
AIを使う前後で、自分が考えている量が増えている。
「AIに聞いたら楽になった」ではなく、「AIのおかげで、もっと深く考えられるようになった」という感覚を持っている。
ツールに使われるか、ツールを使うか。その差は、プロンプトの書き方じゃない。AIを開く前の、自分の思考の習慣にある。
プロンプト集を閉じて、まず紙に書いてみてほしい。「自分が今、本当に解決したいことは何か」と。
それができたとき、ChatGPTはようやく道具になる。
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